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Lee-Byung-hun addicted

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第3話

「釜山に行っちゃった」第3話




「ハギュンssiとジェヨンssiの現場を見に行くにあたって、

ちょっと事前に準備したいんだよね。」

揺がそういって行きたいと言ったのは映画館。

揺は彼らの現場を見る前に、

日本で未公開の「ウェルカム トゥ トンマッコル」が観たいと言ったのだった。

もう、公開からしばらく経つので、

かかっている映画館は少なかったが、

運よく釜山劇場でまだ上映されていた。

「ハングルだけど大丈夫?」

「何とかね。」

ちょっと揺は不安ではあったが何とかなるだろうと思った。

上映開始まではまだ少し時間があった。

「ねえ、ちょっとお願いがあるんだけど」と揺。

「えっ、何?」

「あのさ~。

『ポップコーンは君ね。もうリッチじゃないから。』

って言ってみてくれない?」

そういうと揺は照れくさそうに笑った。

「ちょっと生ミンチョル見てみたいんだよね。」

ビョンホンは

「じゃ、今日は大サービスだよ。」

と言って呆れながらも「ミンチョル」を演じてくれた。

「実は結構ミンチョル好きなんだよね。

いやぁ~見ちゃった、見ちゃった。」

嬉しそうに言うと揺はビョンホンをバシバシ叩いて喜んだ。

そんな嬉しそうな揺を見てまんざらでもないビョンホンだった。

映画も最高だった。

揺の想像してた以上に完成度が高くとても面白かった。

台詞が良くわからないことなど何の問題にもならないほど、

彼らの演技から充分に感動が伝わってきた。

カン・ヘジョンの演技もとても良かった。

それから。

ビョンホンが出血大サービスで、

ポップコーンを取り上げるふりをして揺の肩を抱いてくれたのも、

ぷちヨンスを楽しんでいた揺にとっては嬉しい出来事だった。

あれは、とっても悲しいシーンだったけど二人の気持ちが痛いほど伝わってきてとってもいいシーン。

揺は大好きだった。

30過ぎた、いい大人がこんなことでドキドキするのは可笑しい気もしたが、

嬉しいものは嬉しいのだから。

ひとしきり映画の批評話で盛り上がって表に出てくると、

もう街はすっかり夜。

「じゃあ、夜景でも見に行く?」

そういってビョンホンが案内してくれたのは、

竜頭山公園にある釜山タワーだった。

昼間天気がいいと対馬海峡まで一望できるそうだが、

釜山の街の夜景も最高に美しかった。

二人で見るからまた格別だったのかもしれないが。

夜、どこに泊まろうか相談しながらタワーから降りてくると、

揺は手袋の片方をタワーの上に落としてきたことに気がついた。

「僕がとってくるからここで待ってて」

ビョンホンはそういうと駆け足でタワーの中に戻って行った。

残された揺が石段のそばでビョンホンを待っていると、

そばで5歳くらいの女の子が遊んでいる姿が目に留まった。

危ないなぁと思った瞬間、

案の定その少女は石段を踏み外し、

2メートルくらいの高さから揺のそばめがけて落ちてきた。

揺はとっさに身体で彼女を受け止めて反動で地面に仰向けに倒れた。



手袋を拾って戻ってきたビョンホンが、

さっき揺と別れたあたりに人垣が出来ているのを見て慌てて駆け寄ると、

揺が地面に仰向けで倒れている。

「揺、揺、大丈夫?どうしたの」

ビョンホンが驚いて声を掛けると

「いたたたた・・・っ」

とひじを擦りながら揺は起き上がり、

「女の子は?大丈夫だった?」と聞いた。

揺と女の子が無事だとわかると野次馬は去り、

後にはビョンホンと揺それから助けた少女とその両親が残った。

「お嬢さん、本当にありがとう。

下で受け止めてもらわなかったらきっと娘は今頃大怪我だったかもしれないわ。

命の恩人よぉ~。ねぇお父さん」

そういうと揺を拝んでいる。

「とにかく良かったです。無事で」

恥ずかしそうに揺はそういった。

そして

「そういうわけ」

と照れくさそうにビョンホンに何が起こったのかを簡単に説明した。

「で、君は大丈夫なの?」とビョンホン。

「なんとかね。リュックのおかげで助かったわ。」

ちょうど背中にしょっていたリュックがクッションになっていた。

「あ~こういう旅行にして良かったよ。」

ビョンホンがそういうと二人は顔を見合わせていたずらっぽく笑った。

「本当にありがとうございました。

奥さんに怪我させちゃって申し訳ない。

宿まで車で送りますから。どちらですか?」

と女の子の父親が言った。

「えっ、奥さん?あっ、ありがとうございます。

いや、でも大丈夫ですから。」

奥さんと呼ばれて動揺した揺はしどろもどろでそう答えた。

横でクスクス笑うビョンホン。

「いや、それじゃ私達の気持ちが収まりません。

どちらですか?」

「いや、実はまだ宿泊先が決まってないんです。

気ままな旅行なものですから。」

ビョンホンは笑いをこらえながらそう言った。

「じゃ、うちに泊まってくださいよ。

狭いうちですが。ねっ。是非そうしてください。」

「どうする?揺。泊めてくれるって。

そうする?」ビョンホンが尋ねた。

揺がどうしようか答えあぐねていると

さっき助けた女の子がニコニコしながらビョンホンにつかまって言った。

「オッパ。泊まっていって。

ね、いいでしょ?ね、アジュンマも」

「何でビョンホンssiがオッパで、

助けた私がアジュンマなわけよ。」

揺は憤慨しながらも、無邪気に子どもにそういわれて断ったら自分が大人気ない人のような気がして、
「じゃ、お言葉に甘えて」と答えた。

「何か納得いかないなぁ。」

すりむいた右ひじをさすりながらつぶやくと、

女の子と手をつないだビョンホンが隣でクスクス笑っていた。

「何か納得いかないなぁ~」



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